問題つくるぜ。

面白いぜ。


＊　＊　　＊

さて、気をとりなおして、
ニースから西へ。
目的地はエクス・アン・プロバンス。
今では世界的に有名なクライマーの平山裕示は
高校を中退すると、この町にやってきた。
同い年のF・ルグランというクライマーと
共同生活してクライミングに集中するためだ。
南仏には前傾した、石灰岩がとてもたくさん
ある。
エクス郊外に部屋を借りた彼らは室内に人工壁をつくり、雨がふったとき、あるいは、
登り終わって家に帰って一息ついてからまた
部屋で登る。

数年後、彼らはワールドカップでトップを争う関係になる。

この時点では、彼らはたんなる若者だった。
ただ一点、クライミングにかける根性は、
普通の若者とは違っていた。

ま、その街を見てみたいと思ったのだ。
私もそれにあやかりたいと。

むこうは下道でも時速100kmで
まわりの車は走っている。

バンパーはへこんで、サイドは傷だらけ。
そんなんばっかりである。

映画祭で有名なカンヌも秒速でぶっとばし、
地中海から、内陸に国道は移る。
「太陽がいっぱい」の舞台、ツーロンは
パス。観光はまったく眼中になし。

俺たちは岩を登るためにやってきた。

移動途中の風景は原野と森ばかり。完璧なカントリーロード。

夜中にエクスに到着。そのはずれの駐車場（？）
らしき広場に勝手にテントを張る。

以後、マルセイユ近郊のカランクの岩場を移動する2週間後まで、
なにかと不法占拠することになる。


いまだ、指立てふせ、腹筋は続けている。
忘れないために。